てくてく日本ワイン旅行

Vol.3 新巻葡萄酒株式会社in笛吹市

〜おいしすぎる!ゴールドワイン〜

あまりに潔いエチケットに見惚れ、またゴールドワインという名前にも惹かれたのを覚えています。名前の通り、「甲州」の文字は金色で書いてあるのです。

笛吹市。

新宿から出発する高速バスで行ける場所に、ワイナリーがあるそうです。今回は高速バスを利用して、新巻葡萄酒さんへ行ってきました!   

〜完全家族経営で造られるワイン〜

「完全家族経営」 「自社栽培ぶどう100%使用」

このたった2つの単語がどれだけ膨大な仕事を生み出すのかという事を、私は最近ようやく理解できるようになりました。新巻葡萄酒さんは、まさにこれを地で行く家族経営型のワイナリーさんです。

もともと生食用のぶどうを栽培しており、その中でワイン造りに方向転換されたそうです。

今でも少しだけ生食用のぶどう造りもされていますが、お邪魔した際にいただき、とてつもなくジューシーで濃い味に衝撃を受けました。

小さい粒にギュッと詰まったジュースと言ったイメージ。これだけでも、ワイン用ぶどうの力強さを感じることができます。

ゴールドワインはフルーティな果実味と喉ごしの良い液体感、キュッと心地よい酸が特徴です。本当はイケナイことかもしれませんが、ゴクゴクと喉を鳴らして飲みたい!暑い日にキンキンに冷やした状態で飲みたい!新巻葡萄酒さんのゴールドワインは冷やし過ぎても果実味が損なわれることはなさそう。それだけ強い果汁の存在を感じます。

ぶどう栽培はご家族のみで行なっています。畑は当ワイナリー代表取締役の中村紀仁さんがお一人で管理を。

まずワイナリーの目の前に広がるぶどう畑へ。こちらは甲州のものです。みっちりと枝が張り巡らされているぶどう畑は、幹の太い樹が目立ちます。この枝の広がりは、甲州特有のもの。ぶどう畑には最高齢で50年前後の樹が多く存在します。

お伺いしたのはちょうど2月の頭頃。

乾燥に弱い甲州のためこの時期は最新の注意を払い潤沢に水分を与えるなどした丁寧な作業を心がけます。さらに剪定作業もお一人で行なっているそうで、積雪を考慮した剪定は畑の中心部から行なったりと様々な工夫を凝らしています。

そんなお話をしながら最後に訪れたデラウェアの畑には、大きな亀裂の入った樹がありました。もう力尽きてしまうのでしょうか。かわいそうだなと思いましたが、驚いたことに亀裂付近からは新しい枝が伸びているのです。

ぶどうの生命力は本当に驚かされます。

「だから簡単に廃することはできないんです」と話す中村さん。

なるほど、1本1本を大切に育てる姿勢を貫いているからこそ、あの力強い喉越し感のあるワインが生まれるのですね。

素敵な笑顔でワインにまつわるアレコレを教えてくださる中村さんですが、元々はエネルギーの総合商社で卸の営業担当として勤務されていました。

その後語学留学のためにオーストラリアへ。渡豪はあくまで語学留学のためでしたので、ワインの醸造を学んだわけではないそうです。

しかし、ワイン好きになったのはこの時から。語学勉強をしながら、数多くのワイナリーを巡ったそうです。帰国後、家業であるワイン造りに従事するため栽培について3年間、株式会社i-vinesの池川仁氏に師事されました。

新巻葡萄酒さんのぶどう栽培法は草生栽培を主としています。ぶどうの樹の根元には青々とした様々な植物が。これらはいずれ土壌の堆肥となるものですが、その他にも役割があります。土壌に入れた栄養分が雨で流れ出てしまうこと、また雨による土崩れを防いでくれます。雨量が多く火山性のこの地では、土壌へ入れた栄養分が雨のせいで抜けてしまうことが多いそうです。土づくりから丁寧に大切に育てられているぶどうの樹々は、とてものびのびと育っていました。

〜クラシックに、真摯につくるワイン〜

新巻葡萄酒には現在3種類のワインがあります。

喉越しの良さがピカイチのゴールドワイン、しっかりと熟し華やかなデラウェア、果実味が深く、ふっくらとしたボディ感が印象的なマスカット・ベーリーA。

ワイン醸造の際、中村さんは「新巻葡萄酒のワインをもう一杯」と思わせるワイン造りを目指して醸造をしているそうです。また着飾らず、無駄な装飾を施さないワイン造りはエチケットにも表現されています。ワインの販売当初から変わらぬエチケットを採用しており、今後デザインの変更はないとのこと。

潔いエチケットは当時から変わらないものだったのですね。

新巻葡萄酒のワインは都内ですと成城石井で購入可能ですが、本数はそれほど多くありません。また根強いファンの方は、間違いなく購入できるよう予約注文を入れている方がほとんどだそうです。その為入荷と同時に完売することもしばしば。

ありがたいことである反面、プレッシャーも大きいと話す中村さんです。品質も生産量も前年と同質か、それ以上を上回らなければなりません。家族経営だからこそできるけれど、家族経営だから問題が生じることもある。今までたくさんの苦労がありましたが、そこから教訓が生まれると語るのは中村さんのお母さまでした。家族一丸となって乗り越えたからこそ、にじみ出た言葉だと感じます。

やっぱり一目惚れ(?)してバスに揺られながらやって来た甲斐があったなぁと感じます。

こんな素敵なご家族が丁寧に、大切に育てるぶどうだからこそ、生き生きとしたワインが生まれるのも納得です。

決して柔らかい作りはせず、10年保管できるワイン造りを目指している中村さんご一家。笛吹という土地を信じ、家族を信じたからこそできるワインづくりです。

試飲をご希望の方は一度お電話にてご確認をしてみてください。

またワインツーリズムやまなしにも参加されているので要チェックを。

ぜひ笛吹の新巻葡萄酒で、ゴールドワインをご堪能ください。

【ワイナリー情報】

新巻葡萄酒株式会社

住所 山梨県笛吹市一宮町新巻500

営業時間 9:00~17:00

定休日 年中無休 

電話 0553-47-0071

試飲:有り

・Cafe nanacara  徒歩5分

ワイナリーから徒歩圏内。手軽なランチコースを中心に営業しています。フロアのみペット同伴OK。不定休のため、営業日は公式Facebookページをご確認ください。

公式Facebook https://www.facebook.com/Cafe-nanacara-170123010074883/

・ももの里温泉 徒歩5分

Cafe nanacara正面の正面に構えていて、こじんまりとした市民が通う温泉。泉質が良く、体の調子悪い時はオススメです。日帰り温泉の利用も可能です。

公式HP http://www.fuefukinoyu.com/momonosato/