てくてく日本ワイン旅行

Vol.6 NATAN葡萄種専門店in阿波池田

 

〜「四国のヘソ」から四国メイドのワインを発信!〜

ノスタルジックな外観と車内の南風号に揺られながら、阿波池田駅に到着。瀬戸大橋で少しゆっくりと走ってくれた南風号に別れを告げ、可愛らしい駅舎を抜けます。今日の目的地は、商店街です!

 

 

駅の出入口は一つなので、案内看板に導かれるがまま、駅出口へ。特急券は駅員さんに手渡す式で改札を出ます。すると目の前に、どこか懐かしい商店街の入り口が。駅から徒歩10歩と言った感じです。

 

 

季節になると阿波踊りの踊り子がこのアーケード下を練り歩くそうで、観光客で溢れかえる、そんな商店街。だからなのか、商店街の中には多くの宿泊施設があります。

 

 

本日のワイナリー、NATAN葡萄酒専門店はこの商店街の中にあります。

NATAN葡萄酒専門店は駅から徒歩五分ほどの場所。少し時間がありましたので、商店街の散策を。

ちょっとした休憩スペースがあったりします。安くて美味しい、またはリノベーションをしているであろうオシャレな飲食店も多く見受けられました。

 

 

思わぬ寄り道を楽しんでいると、目的地に到着しました。

 

 

一目見ただけでもうワクワクが止まらない!

NATAN葡萄酒専門店さんには、そんな秘密基地のような魅力があります。

 

 

〜異色の経歴を持つ!?魔法使いのような醸造家さん〜

醸造責任者でありオーナーの井下奈未香さんは、夏の太陽にも負けないくらい、キラキラした素敵な笑顔の持ち主の方です。

 

 

奈良県出身の井下さん。なんとソムリエ、元・BAR経営者の他、メンタルケア心理士という異色の経歴をお持ちだとか。一体なぜ、ワインづくりの道へ踏み出したのでしょうか。

 

「女性の社会復帰のための、手助けがしたかったんです。」

 

井下さんは力強く、そして迷いなく話してくださいました。

シングルマザーとして奈良で自らBARを経営した時に、渡伊し青少年の支援をしならがらワインづくりをすることを夢見ていた井下さん。

しかし、2人の娘さんの意見で現在のご主人の故郷、徳島へ移住を決意します。

ですが移住先の四国はそもそも日本酒文化圏。ワイン文化が根付くことは難しいかと感じましたが、関西のワイナリーさんの協力を経て、無事にワインをリリースします。

 

将来、社会に中々馴染めない女性を雇用したい。

 

望まぬ犯罪などに巻き込まれ、社会復帰が難しい女性たちをワイナリーで雇用(※イタリアの多くのワイナリーでは、そういった形態をとっている現状があります。)したいと語る井下さんのお顔は、未来へ向かって輝いていました。

栃木県のココ・ファーム・ワイナリーをはじめ、日本では知的障害のある方を雇用するワイナリーが増えてきているますが、NATAN葡萄種専門店のように女性の社会復帰を目的としたワイナリーさんには初めてお邪魔しました。同時に、ワイナリーの在り方について、改めて考えさせられました。

 

~四国のヘソ 瀬戸内でのびのびと育つワインを~

四国のほぼ真ん中に位置する三好市。特徴的な瀬戸内性気候は、春先に旅行に行くのは最高です。道中の瀬戸大橋での景観は素晴らしく、まるで地中海のようでした。

乾燥地帯でカラカラした気候は、ぶどう栽培に良い影響をもたらします。NATAN葡萄種専門店のヴィンヤードは、ショップから車で30分ほどの場所にあります。

 

 

ぶどうの育成環境的に、四国山脈のお陰で台風などの影響は全くないそうです。一昨年の関西を襲った大型台風の折も、全く被害がなかったほど。まさに奇跡の土地です。

畑にはなだらかな傾斜があり、気持ちの良い風が抜けます。リバーサイドながら水はけはが良いことも強みの一つ。(三野町)

ワイナリーは阿波池田町内に建設予定。”憩いの場”としてのワイナリーを目指したワイナリー構想は、今からとても楽しみです。

現在はフジマル醸造所にて委託醸造中。

yellow magic wineryの岩谷さんに井下さんが岩谷さんに熱烈に憧れていたそうです。ゆくゆくは日本に古くから存在するぶどう(ヤマソーヴィニョン、巨峰、甲斐ブランなど)で日本ワインをつくりたいとも。

 

 

現在は約600本ほどを栽培。(ヤマソーヴィニョン、ピノ・ノワール、甲斐ブラン、リースリング)来年以降、さらにヤマソーヴィニョンの苗を植樹予定とのことで、ぶどう畑もますます活気づきます。

 

~人を魅了するワインづくりを目指して~

ヤマソーヴィニョンで優しいワインをつくろうという井下さんの言葉が。

 

「じゃじゃ馬を調教している感じなんです」と笑顔。

 

本当に日本ワインの良いところ、悪いところがわかっている方なんだなと感じます。

 

野性味溢れるぶどうで優しいワインをつくりたい。

日本酒の文化圏で、四国四県のぶどうを使ったワインの発信をしたい。

 

井下さんの強い気持ちはワインショップにも現れています。ショップは”魔女の趣味の部屋”をイメージし、手作りしているそう。ワインはぶどうの樹からつくられる人を惑わす、魅了する液体だと感じ、お店のコンセプトやワインづくりにも表現されています。

 

 

そんなワイナリーのコンセプトと、将来女性の社会復帰の場としてあり続けたいというビジョンに、同じ女性の立場から強く共感しました。

瀬戸大橋の旅とワインを結びつけ、「旅がきっかけでワイナリーが好きになった!」と思ってほしいと井下さん。

そんな井下さんが生み出す「人を魅了する」ワインに会いに、阿波池田まで大人の休日はいかがでしょうか。

 

 

【ワイナリー情報】

・NATAN葡萄種専門店

・住所 徳島県三好市池田町マチ2185―4

・営業時間 

・定休日 土日祝日

・電話 090-3180-7210

・ホームページ https://natan-wine-store.business.site