にほんしゅくんが行く!vol.5 地酒どころ新潟県の超名門酒蔵!「越乃寒梅」の石本酒造を通して「新潟地酒」の魅力を知ってほしい!

みなさんこんにちは!日本酒のきき酒師の漫才師の「にほんしゅ」の北井一彰です。今月も「ワインにご縁のある日本酒」をテーマにご紹介していきますよ!

前回の記事はこちら>>vol.4 広島テロワール!復活した酒米『広島錦』と『賀茂鶴酒造』の魅力

蔵の外観からも風格漂う「越乃寒梅」醸造元の石本酒造様
(写真提供:石本酒造株式会社)

さて、聞くところによるとなにやら新潟のワインが熱いそうじゃないですか?それならば黙っていられません!(といいますか良きチャンス!)米どころ、酒どころの「新潟」の魅力をちゃんと知ってもらわなければ!今回は通常酒蔵見学ができない、新潟地酒の中でも超がつくほどの名門「越乃寒梅」の石本酒造さんに特別に見学させていただいたお話を中心に「新潟地酒の今」について僕なりにお伝えしたいと思います。ぼんやりとした「新潟って酒どころよねー?」というイメージをハズキルーペをかけたようにくっきりさせます!

データを見てもやっぱり地酒王国の『新潟』

熱くなりましたが、まずは新潟の日本酒を冷静にデータで見てみましょう。

えーと?うんうん、、日本酒の酒蔵数全国1位、日本酒の個人消費量1位、日本酒生産量全国3位。。。

やっぱりすごいですわ新潟。

こういったデータを見ても新潟って本当に強烈な地酒県だと思います。関西人が粉もんを愛し、切っても切れない縁があるように新潟県の方には日本酒を飲むDNAが刻まれているんじゃないでしょうか?

個人的に1番すごいと思うのが個人消費量1位というポイントです。ちなみに日本酒の生産量1位は兵庫県、2位は京都府で大手酒造メーカーがひしめく関西勢が占めているんですが、個人消費量は新潟には遠く及びません。本当に堂々と「新潟の食べ物とお酒はどこにも負けない!」とおっしゃる方が新潟には多い気がします。地元の食文化の中で地元のお酒がしっかりとポジションを保っている。これが素晴らしい!新潟の酒蔵さんは一地域に集中するのではなく、各地に点在していて「長岡の人は長岡の酒を飲む」みたいな新潟の中でもさらに地域ごとに自分の地元のお酒を誇る世界観が感じられます。

「地元で飲まれる」お酒がすごく好きなんです、僕。

新潟の日本酒ってやっぱり淡麗辛口?

今でも多くの酒蔵さんが日本酒を造っていて地元消費も盛んな新潟県ですが、味わいはすっきり飲める「淡麗辛口」をイメージする方も多いと思います。確かにそういった味わいのお酒は多いのかなと僕も思います。

ただ、これに関してはは半分正解、半分不正解としか言いようがないんじゃないでしょうか?この後お話させていただく「越乃寒梅」などの全国的に有名な地酒ブランドはすっきりと飲みやすく軽やかな旨味を持つものが多いと思いますが、お酒単体で飲んでもインパクトがある「甘酸っぱさを明確にしたタイプ」「甘みがあってジューシーなタイプ」の生酒の登場など、そりゃあ約90も酒蔵がある新潟のお酒の味わいを

「新潟の酒だから淡麗辛口!」とは語り切れるわけないんです。「アメリカ人だから全員ホットドッグ好きでしょ?」ぐらいむちゃな決めつけです。

しかし!しかしですよ!北海道から沖縄まで全国の日本酒を数千種類は飲んできた日本酒ラヴァーの僕はあえて言いたい。

「新潟のお酒って淡麗辛口なお酒が多いと思うし、僕はそれが好き!」

百花繚乱の現代の日本酒の味わいの中でもぶれない「越乃寒梅」

そんな地酒王国「新潟」の中でも確固たる地位・人気を誇る「越乃寒梅」の石本酒造さん。

「淡麗辛口」な新潟地酒を代表する銘柄で、日本酒にあまり詳しくなくてもご存知の方も多いんじゃないでしょうか?日本酒イベントなどで石本酒造の方にご挨拶できる機会ぐらいはあっても日本酒好きな僕からするととても敷居が高く感じる酒蔵さんでした。しかし、ありがたいことに去年特別に酒蔵見学をさせていただける機会をいただきました!

「越乃寒梅」の見学!!やったー!イエーイ!緊張するー!!という様々な感情が生まれたのをよく覚えています。

石本酒造さんは新潟市内にあり、新潟市の中心街へも車ならすぐという立地です。最寄りの亀田駅を降りて少し歩き、おそるおそる蔵へお邪魔しました。

そしてすぐさま社長にもご挨拶!どうなる!若手芸人「にほんしゅ」!?

石本龍則社長(四代目蔵元)の優しい笑顔で緊張が少しほぐれました

、、、石本社長、とっても優しいーー!!良かったぁぁ!!無事ご挨拶も終えて一安心してから酒蔵見学へ。

蔵を案内してただいたのは酒造りの責任者「杜氏」の竹内伸一さん。お酒造りへの情熱が素晴らしい方です!

たっぷりと蔵の中を見学させていただいての感想は「蔵の皆さんが、美味しい『越乃寒梅』を造るために出来ること、当たり前のことを淡々とやり続けるという美しさがすごい!」でした。

変な例えですが、名門高校野球部のグラウンド整備や準備運動を見ると同じような気持ちになるんじゃないでしょうか。「あぁ、すごいなぁ、、きれいなぁ、、」という感じでこっちの気持ちまで引き締まるような。若き造り手さんがここ5年10年で新たな銘柄を立ち上げて人気になっていった日本酒も数多く、その世界観も素晴らしいのですが、こういった数十年に渡り地元をはじめ全国で飲まれ続ける有名銘柄を軽視することは酒好きとして絶対できません!

淡々としながらも美しさを感じる仕込み風景(写真提供:石本酒造株式会社)

「ちゃんと知らなかったなぁ、見させていただいて良かったなぁ!」と改めて思った見学でした。

日本酒造りの工程で非常に大切な米麹づくりをする部屋「麹室(こうじむろ)」は伝統的な木製のものではなく掃除のしやすいステンレス製にしているなど、「越乃寒梅」という銘柄が毎年さらに良くなるようにという工夫や想いが杜氏の竹内さんの熱い説明からとことん伝わってきます。特にお酒を瓶に詰める「瓶詰め室」の清潔さは圧巻でした!エアシャワーなどで瓶詰室に入る人を徹底除菌し、最後の最後まで「雑菌が入ったり味が落ちたりする可能性を徹底的に排除する」という姿勢は執念さえ感じました。

ここまで清潔な瓶詰め室は見たことがありませんでした

一時は高すぎる人気から「幻の酒」とまで言われた「越乃寒梅」の実像を見させていただき改めて凄さを実感しました。

石本酒造さんはいくら人気が出ても身の丈以上には増産せず、甘口の日本酒が流行った時代にも「地元の人が喜んでくれるキレのある飲み口のいい酒」を大切にし、日々進化されてきたのです。去年の石本酒造さんの酒蔵見学の数ヶ月後に、僕の親がどちらも還暦を迎えるということで還暦祝いの旅行に行きました。そのとき旅館の方に無理を言って持ち込ませてもらったお酒が「越乃寒梅」です。旅館のコース料理をいただきながら家族で飲んだ「越乃寒梅」の味わいは実ははっきりと覚えていません。

「越乃寒梅」は色々と出てくるどの料理の邪魔もせず、お酒単体で主張せず、ただただ寄り添ってくれる。

会話をも邪魔しないんです。お酒が大好きな両親も笑顔で「おいしいなぁ」とただただ連発していました。あれよあれよという間に無くなり、「おいしかったなぁ」という記憶のみ。お祝いの場の見事すぎるアシストをありがとうございました。

色々な日本酒を飲むほどに分かってくる名門酒蔵のすごさ。「珍しい」お酒も「数量限定」のお酒もいいんですが「どこでも買える昔から有名なお酒」も良いんです。皆さんもぜひお食事とともに「越乃寒梅」を飲んでみてくださいね!

見学後は様々な「越乃寒梅」の試飲をさせていただきました。原料米は酒米の東西の横綱と言われる「山田錦」と「五百万石」が中心です

そう、にほんしゅくんが熱く語るように新潟は米どころ、酒どころ。そしてワインも年々、注目が高まっているんです。その拠点ともいえるのが新潟ワインコースト。VINETREE MAGAZINEの記事「日本海のやさしさと鮮烈 新潟の海の「おいしい」とともに~ルサンクワイナリー シャルドネ 2015」(リンク先:https://magazine.vinetree.jp/posts/5990898)、「長く静かに懐かしい余韻。この土地の明日に思いを馳せて~フェルミエ ケルナー 2017」(リンク先:https://magazine.vinetree.jp/posts/6073791)をチェックしてください。

さらに新潟はクラフトビールも話題になっているんだとか。さすが新潟、飲むだけではなく、造るのも。酒好きの国なんですね。

石本酒造株式会社ホームページ https://koshinokanbai.co.jp/