てくてく日本ワイン旅行

Vol.4 飯田本家in香取市

〜千葉の大姫〜

千葉県といえば何を思い浮かべますか?落花生ですか?それとも某夢の国?
生まれも育ちも千葉県民な私がいうならば、ズバリ「お酒の文化」です。 


千葉県は日本酪農発祥の地だけあって、どこまでも平坦な土地が広がっています。

さらにそんな土地柄か、お米も有名なのです。ふさおとめ、ふさごがね、コシヒカリなど。お米が出来れば日本酒もできる。そんな日本酒で有名な千葉県水郷エリアに、飯田本家さん(以下、敬称略)という蔵元があります。フラグシップの銘柄として「大姫」、「惣兵衛」(地元産酒米雄山錦を使用)。創業は明治10年の老舗蔵元です。実はこちらの飯田本家さん、なんとワインも醸造しているのです。

日本酒蔵さんでワイン???

そもそも千葉でワイン用ぶどうが栽培できるのだろうか。

疑問は尽きませんが、ご連絡をしてみると代表で各酒類醸造責任者の飯田雄英さんに快く訪問の許可をいただきました。

早速、東京からJR成田線で小見川駅へ。

利根川を挟んで、茨木県は目前。小見川駅から飯田本家までは徒歩で10分かかりません。なんともノスタルジックな街並みにワクワクしながら向かいます。地図を確認しつつ歩みを進めると、軒先に杉玉を下げた建物が見えてきました。あそこかな?と近づいてみると、「大姫醸造元」と白く染め抜かれた青いのれんがかかっています。案内された中庭で、代表の飯田さんにお話を伺いました。

                                   

〜面白いからやってみよう〜


さっそくですが由緒ある日本酒蔵で、なぜワイン造りを?

「きっかけは、友人からいただいたワインを飲んで、これは面白いお酒だと感じたことです。」

そこから走り出した飯田さんの行動力は素晴らしいものでした。

思い立ったが吉日、すぐに行動派の飯田さん。

各種免許の取得に尽力し、敷地内に醸造場を新設、ワイン造りを開始。ぶどう畑の草刈り用にと北海道からヤギを2頭を連れてきました。

それにしても、日本酒を醸している方が、ワインを面白いお酒だと思うとは。

常に探究心や好奇心を持っていなければ、できないことですよね。

ぶどう畑で働く、飯田さんの大切なパートナー。
実は飯田さん、動物が大好きなのです。

しかし気になることはそれだけではありません。千葉でぶどうって、そもそも栽培可能なんでしょうか?

「香取市の栗源町は元々ぶどう栽培に適した土地ではあったんですが、自社畑はなかなか栽培が難しい場所ですね。しかし自社畑でも徐々に栽培は可能になりました。近年は自社畑で栽培・収穫したぶどうを使って、ワインを造っていますよ。」

そんな飯田本家の「グラン・プリンチペッサ スチューベン」も、そんな自社畑のぶどうから作られたワインの一つ。スチューベンならではの華やかなキャンディのような香りが特徴です。さぞや甘いワインかと思いましたが、喉を通り抜ける液体の印象は全く違うものでした。確かに最初は甘みが感じられますが、それだけでなくバランスのとれた渋みも併存しています。そして何より爽やかながら存在感のある液体が印象的でした。

この清々しさは、さすが日本酒蔵の醸す日本ワインです。

現在栽培している品種はナイアガラ、ブラッククィーン、山葡萄系2種、メルローの5品種。

自社畑の環境に適しているのはどうやらナイアガラとブラッククィーンではないかとのことでした。ぶどうは栽培環境が過酷なほど良い房をつける強い果樹ですので、今後のワインの仕上がりもとても楽しみです。

〜栗源町のぶどうで、日本人が飲み飽きないワインを〜

飯田本家の「3人娘」たち。タイミングが良ければ会えるかもしれませんよ。

日本酒も「飲みごたえ」を重視されている飯田本家さん。そのキャラクターはワインにも表れており、存在感のある液体と果実味が特徴です。

ワイン名の由来は「大姫」をイタリア誤訳したもの。素敵なネーミングですね。エチケットには飯田さんのイニシャルと奥様のイニシャルが描かれているのも注目ポイント。

さらに飯田さんは新たな試みで「ミード」、「ブランデー」を生産予定だそうです。どんなお酒にも関わらず、醸造のお話をする時の飯田さんはとても楽しそう。出身地でこんなに素敵なワインがつくられているなんて、驚きと嬉しい気持ちでいっぱいです。

気さくでアグレッシブな飯田さんの醸す「グラン・プリンチペッサ」。千葉県産ワインを味わいに、ぜひ足を運んでみてください。

【ワイナリー 情報】

・株式会社 飯田本家

・住所 千葉県香取市小見川178 

・営業時間 8:30~17:00

・定休日 日曜、祝日

・電話 0478-82-2037

・酒造見学:可(要連絡)

・ホームページ http://www.chiba-sake.jp/suigo/iida/

・小見川城公園

飯田本家さんから徒歩20分ほど。四季折々の花木を楽しめます。また古墳群や遊具が整備された「アスレチック広場」や「チビッコ広場」「わんぱく広場」のほか、数寄屋造りの「清風荘」があり、子どもから大人まで楽しめます。ワインを持ってピクニックにも最適です。

https://www.city.katori.lg.jp/sightseeing/meisho/shizen/joyama.html

・株式会社須田本店

飯田本家さんからほど近くの鶏肉と卵の専門店。創業1921年。各種メディアに取り上げられている水郷の有名店。店内カウンターでは、多彩な鶏肉や卵を使用したメニューが楽しめます。

https://www.suigo.co.jp/fs/suigo/c/map